2008年04月08日

24:決戦の火蓋

陽は昇る
太陽は意識せず
変わることなく
その姿を人々に現す
そして世界に光を満たす
光は人々に希望と潤いを与える

しかし
その光を浴びてなお
希望よりも不安を抱く者達もいる


鏡の森入り口
そこには3人の男女の姿があった



ラファエル、アルバート、ティファの三人は準備を整え、セロの到着を待たずに森への侵攻を決定した。
森の最深部へ辿り着くまでにおよそ半日。
そこで果たして出会えるかどうかも不確定な対象との遭遇。
今までの捜査によってある程度まで魔物達の生息地を限定できたとはいえ、必ずしも目標である魔物の女王『フェリジア』と接触できるとは限らない。
しかも今昇った太陽が地平に沈むことで、当然のように夜が訪れる。
今夜は満月。
かつてない未知の夜となる。

上位種と同化した魔物に、満月はどのような作用を及ぼすのか。

ラファエルの願い。
それは愛する妻への最後の約束を果たすこと。
だが、願わくば、以前のようにお互いを支えあえる伴侶を元に戻せるのであれば。
昔のように共に過ごすことができるように。
妻を救いたい。
それが叶わないのであれば。
この手ですべてに決着をつける。
かつて、互いの胸に誓った十字架に懸けて。


ティファが、隣に立つラファエルの腰に見慣れぬ物を見つける。

「・・・それは?」

ラファエルの腰には先日まで目にしなかった短剣が装着されていた。
ティファの問いにラファエルは静かにそれを抜く。

「聖剣だ。・・・この誓いを刻んだときの・・・」

その短剣は、およそ武器としての役割を果たすには不相応であろう姿だった。
刀身は短く、豪華な装飾が施されており、武器というよりも儀式などで使用するような物だった。

「それも、特別製なのか?」

愛用の片手剣を背負ったアルバートが覗き込む。

「そうだ。儀式用に作成されている聖剣で、退魔の効果も少なからずある。役に立つとは思っていないが・・・ないよりマシだろうと思ってな。」

満足に武器として使えそうもない物にまですがることになろうとは。
ラファエルはやや苦笑しつつも、どこか悲しい表情を浮かべた。

アルバートは彼の心境を察し、ラファエルから視線を外すと目の前に広がる森を見つめた。
この奥に魔物の女王がいる。
おそらくこれが最後の戦いとなるだろう。
アルバートは自分の役割を知っている。
なによりもティファを護ることだ。
自分は彼女の盾だ。
先代の君主との約束もある。
必ず無事に帰してみせる。
そしてもうひとつ。
ラファエルとフェリジアとの戦いに一切の手出しをしないことだ。
ラファエルがそう頼んだわけではない。
しかし、そう願っているだろう。
これは、種族の壁を越えた二人の戦いなのだ。
ただ一瞬触れ合っただけの他人が、無造作に踏み入れていい領域ではない。
たとえそれがどんな結末であろうとも、最後まで見届ける。
もしもラファエルが敗れたときは、そのときは自分を犠牲にしてでもティファを逃がす。
ラファエルの戦闘能力は自分とティファ二人よりも数段優れていることは充分知っている。
そんな彼が敗れるようであれば、その相手に自分達だけで勝てるはずがないことは容易に想像がつく。
アルバートは、ティファの知らぬところで決死の覚悟を心に刻んでいた。


太陽がその高貴なる姿を完全に現す。
その光が届かないような森の奥地に潜み、待ち受ける最大の敵。
ラファエルにとっては最愛であり、そして最悪の相手となる。
ティファとアルバートにとっては最強であり、未だかつてない底知れぬ未知の存在との戦いが始まる。

決戦の火蓋は
皮肉にも、人々が希望を抱くはずの夜明けだった。


「行こう」

アルバートが力強く出立の言葉を発する。
その言葉にティファが緊張面持ちをしながらも、一点の曇りもない表情で頷く。
ラファエルもそれに続き、三人が互いの目を見て決心を強める。


それぞれの決意を胸に、三人は仄暗い森へと足を踏み入れていった。
posted by ラストエフ at 00:46| Comment(1) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ラファアアアアアアアアアアアアアアア。゜゜(´□`。)°゜。ワーン!!
Posted by ラファ親衛隊1号 at 2008年04月08日 08:17
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